京都の生活 第153回 下鴨神社古書市 (2013.8.20)
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 毎年、お盆前になると下鴨神社の糺の森で古書市が開かれる。巨木が連なる森の中での露天市だから涼しいと思われるかもしれないが、京都の夏はそんなに生易しいものではない。

 まして、今年は例年以上の酷暑が続いているので、少々ためらいもあったが思いきって出かけてみた。

 50件以上の露店が並んでいるのに圧倒される。この暑さの中で本の背表紙を眺めていく疲労で、半日くらいが限界である。それでも三分の一以上は回っただろうか。

さすがに京都の古書市だけあって、仏教書、美術書、歴史書などが豊富だが、兒童用の本の専門の売り場などもあって結構楽しめる。

 これらの多種多様な本の山をながめてくると、人間の営みの多彩なこと、執拗なことに感心させられる。これが文化なのだと実感できるのである。

それらの中から、最近興味を持ち、資料を集め始めた滿洲国に関する本、黄河文明より古く、日本の稲作に影響をあたえたといわれる長江古代文明に関する本。貝塚茂樹が解説している老子などを購入してきた。

例によって露店風景を詩に詠んでみた。露肆(ロシ)とは露店のことである。半ズボン、手には団扇の軽装で、神社の木陰をさまよいながら、半日の閑遊を満喫してきたわけである。